いま、現代の社会・経済へ向けて、農業フィールドから対抗する運動が模索され、力強く実践されています。「遺伝子組換え食物NO!」「遺伝子組換えイネNO!」のボイコット運動、またそれらを支える「大豆トラスト」「水田トラスト」の両運動。
山形県新庄で、「工業のエコ化」「工業の農業化」構想を持ち、「もみがらミネラル炭」を生産している農家の方達の動きを伝えます。


 新庄水田トラストより


新庄水田トラスト」機関誌《情報交差点》2003年1月10日号より転載

― 転載ありがとうございます。〈TCXpress 〉 ―


新庄水田トラスト 東京世話人:田中正治

1) 世界の遺伝子組換え農産物と食品を一手に仕切っているのがアメリカの巨大多国籍化学企業・モンサント社。ベトナム戦争の時ベトナムのジャングルを丸裸にするため、猛毒・枯葉剤を開発した前歴をこの会社は持っています。今は、アメリカ政府と組んで、大豆、トウモロコシ、米、小麦の栽培と自社の農薬を同時に売りこんで、ぼろもうけをたくらんでいます。
 だが、ヨーロッパで、消費者の激しいボイコット/不買運動に会い、ヨーロッパから撤退。市民たちはスーパーマーケットに対し遺伝子組換え食品を買わないようアピールしたり、実験圃場で苗を引っこ抜いたりして抵抗しました。これが功をそうしたようです。
 アルゼンチンでモンサント社は、小麦やトウモロコシの遺伝子組換え農作物を栽培させ、輸出していましたが、アルゼンチン経済の崩壊に遭遇し、大打撃をうけたとか。
 最大のターゲット・稲の遺伝子組換えの実験を、モンサント社は日本の愛知農業試研場と組んで開発していましたが、粘り強い日本の消費者の反対署名、集会、試験場への押しかけ、デモに押されて、愛知県は開発を断念してしまいました!
 さてモンサントはどうする?そこで、世界の稲の大生産地・中国、インドが、最大のターゲットとして狙われそうです。とにかくこの2国で25億人。世界人口の約半分なのですから。
 3月25日にインドから、バンダナ・シーバが日本に来るとのことです。彼女は、インドでの遺伝子組換え反対運動の理論家でリーダー。彼女の魂を揺り動かす激しい怒りと知的メッセージに触れてみましょう。(3/25午後1時東京・青山「ウイメンズ・プラザ」にて)遺伝子組換え反対運動は、地球規模の運動。生命を冒涜する巨大資本に対する抵抗。命までが金儲けの手段にされてしまうことへのNO! 欧米、アジア、アフリカ、南米まで広がっている市民の生命と生存のためのグローバルな抵抗運動なのです。
2) アメリカ政府と軍部がイラクを攻撃し始めようとしている。硝煙の臭いが毎日テレビの画面からしてくるようです。色々な理屈をつけていますが、要するに、世界第二の石油埋蔵地イラクを支配したいというのがアメリカの本音なのでしょう。
 いつの世も、真の主役は表に出ないということらしい。石油多国籍企業がその主役なのです。ブッシュ政権は、石油産業、軍需産業の執行代理人のようなものとうわさされるのも、側近の顔ぶれを見れば納得させられます。まあ、世界が石油に頼っている限り、戦争はなくならないのでしょう。地球環境を破壊の極に追い込みながらも、依然として石油は、産業の動脈に変わりはないと嘯いている人達もいます。
 では、石油に代わるエネルギーを作ってしまえばよいではないか、ということになります。まさに、そうなのです。

 何をエネルギーの原料にするか?無尽蔵の太陽のエネルギーがそれ。石油も太陽エネルギーの塊といえばそうなのですが、掘り尽くせばそれでおしまい。やっぱり植物。生命体の中で唯一の生産者といわれている働き者。我々動物も、この唯一の生産者のお世話にならなければ生きていけないのは自明のこと。
 
 新庄では、早稲田大学のバイオマスセンターがオープンしました。スイート・ソルガムというサトウキビの一種を、農地に植え、それを絞り、アルコールを発酵させ、自動車やトラクターのエネルギーにしてしまうとか。
 有機農業といえども、農業機械は石油に頼っているのだから、いずれ石油が使えなくなると、有機農業もだめ、といわれてきた難題を軽くクリアーしようとしています。
 年末に40歳くらいのエネルギー研究者に会いましたが、彼は菜種を植え種を絞って菜種油にし、それを原料に発電する事業を立上げたいと言っていました。農業は危機だ!といわれて久しいのですが、米や野菜だけに頼らず、自分たちでエネルギーも生産し流通にのせていく。これは将来的に意義の有る事業だと思いませんか?もっとも新庄では早くもバイオマス・エネルギーを手が・ッているので、もう世界の最先端を走っているようです。
 原始力産業、石油産業にエネルギーを頼らず、自分たちだけでエネルギーを作って生きていく。それも太陽と大気と水と大地の恵みだけで育まれる植物を原料にして。バイオエネルギーは無尽蔵なのです。農業はエネルギーの無尽蔵の宝庫といえましょう。

3) イギリスで始まった産業革命は、農業から工業への産業構造の革命でした。この工業こそ、自然に制約される農業(米はせいぜい年2回しかとれない)の枠をぶっ飛ばし、人工的にどんどん回転を上げ、効率をアップ、同じものをいくつでも作ってしまうという魔法をもたらしました。
 この潤滑油がお金。お金が生産、流通、消費をぐるぐると回り始めると、それにあったシステムができてしまい、お金は人々の社会的関係を作っていく資本になっていく、というマジックが演じられ、どんどん大きくなれば儲けも結局大きくなり、人間の欲望も拡大再生産していきます。
 石油は実に安価で、便利で効率の良いエネルギー。だからみんなじゃぶじゃぶと使ってしまいます。情報化社会と言っても、大量生産、大量消費、大量廃棄の工業経済は、この石油をベースに今なお続いている。だからアメリカは、石油の世界第二の埋蔵量を誇るイラクを攻撃して、石油をコントロールし、しっかり儲けようと戦争準備をしているのです。

 そこで、この石油をエネルギーにした工業から、石油をエネルギーにしない工業にしたらいいんじゃないの、という意見が出てきても不思議ではないでしょう。「工業のエコ化」とか、「工業の農業化」と言われているのがそれです。
 40年前に、有機農業が機械化、化学農薬、化学肥料を手段として「工業化農業」へと転換したのとは逆に、「工業を農業化」してしまおうというわけです。地域分散、分権型の循環社会に転換しようとするなら、この「工業化」が不可欠になるでしょう。

「工業の農業化」とは、

  • エネルギー、工業製品(プラスティック、医薬品を農林漁業資源(バイオマス)から生産。
  • 生物、微生物に直接有用物を作らせる「生産の農業化」。
  • 鉄とコンクリートによるダム・排水路を、「緑のダム」や土壌、微生物による保水・浄化にかえる「公共事業の農業化」などを意味する。

 もみ、稲わら、間伐材、廃材、水産加残滓、家畜糞尿、食品廃棄物、廃油など、年間1億5000万トン。それに遊休地での菜種栽培などを含めると莫大なバイオマス資源があります。これらを微生物の働きによりエタノール、メタノール、水素、バイオジーゼル燃料などのエネルギーと生分解性プラスティック、医薬品、食料品などに転化できます。
 バイオマスは、アルコールにしてもデンプンにしても、ガソリンの代わりに自動車やトラクターを走らせたり、発電の燃料になるばかりか、石油の代わりに、プラスティックなど化学製品の原料になります。
 20世紀は、世界のある地域に偏在する石油の争奪をめぐって多くの戦争が勃発しました。それに対して、植物・バイオエネルギーを基盤にする経済をつくるなら、植物は世界に分散しているため、少なくとも、エネルギー争奪の点から見ると、石油をめぐる戦争の根拠はなくなるでしょう。

ネットワーク農縁のURL http://www004.upp.so-net.ne.jp/net-nouen/





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